Linux活用レシピ > KNOPPIXの活用 > 帯域制御装置の作成


帯域制御 - 組み合わせ


    これまで紹介した、帯域制御PCで、遅延・パケットロス・帯域(速度)制限を組み合わせます。
    これにより、例えば社内のオンプレミスのサーバーを、クラウド上に移設した状況の通信品質を再現し、サーバーサービスの品質低下が発生するかどうかの確認が、事前に手軽にできることになります。

1. 「tc」コマンドによる遅延・パケットロス・帯域(速度)の設定

  • まず、以下の「tc」コマンドで、帯域(速度)制限をかけます。
  • root@Microknoppix;~# tc qdisc add dev eth0 root handle 1:0 tbf rate 40mbit burst 20kb limit 200kb[ENTER]
    ここでは、ネットワークデバイス「eth0」から出ていくパケットに対して「40Mbps」の帯域(速度)制限をかけています。
    パラメータの説明はこちらを参照してください。

  • 次に、以下の「tc」コマンドで、遅延とパケットロスをかけます。
  • root@Microknoppix;~# tc qdisc add dev eth0 parent 1:0 netem delay 20ms 2ms 50% loss 10%[ENTER]
    200msの遅延を発生しつつ、半分(50%)の確率で、20msの遅延から±2msの範囲で遅延を増減させてゆらぎを与え、かつ「10%」のパケットロスを出すようにしています。
    詳しくはこちらを参照してください。


      なお、既に定義が入っている場合は、以下の通りエラーが出ますので、
      RTNETLINK answars: File exists
      
      以下の通り、定義を削除してからコマンドを投入してください。
      root@Microknoppix;~# tc qdisc del dev eth0 root[ENTER]
     
      また、これらはKNOPPIXのターミナルで作業を行います。ターミナルが起動できていない場合は、以下のターミナルアイコンをクリックし、

      以下の通りターミナルが起動しとところで、
      knoppix@Microknoppix:~$
      

      以下のコマンドで「root」ユーザに変更し、これまでのコマンドを実行してください。
      knoppix@Microknoppix;~$ su - [ENTER]
      root@Microknoppix;~#
      


2. 遅延・パケットロス・帯域(速度)制限の影響確認

  • 確認してみましょう。帯域制御PCをはさんで、Windows10のパソコンから以下の通りエクスプローラでファイルをコピーします。


  • 最初は順調にコピーされています。
    pingの応答もよいです。

    では、帯域制御PCのコンソールで、先ほどの遅延・パケットロス・帯域制限をかけます。
    root@Microknoppix;~# tc qdisc add dev eth0 root handle 1:0 tbf rate 40mbit burst 20kb limit 200kb[ENTER]
    root@Microknoppix;~# tc qdisc add dev eth0 parent 1:0 netem delay 20ms 2ms 50% loss 10%[ENTER]
    すると・・。

    とんでもなく速度が低下しました。
    ping応答も遅くなり、時々失敗する状況になりました。


3. まとめ

    このように、帯域制御PCで帯域制限がある状況に遅延・パケットロスを加えられますので、これをネットワーク上の装置間にはさみ込むことで、品質の低下した環境をシミュレーションできます。