◆KNOPPIXを使ったMacの完全保存と復元レシピ◆
◆保存する手順◆
ここでは、MacをKNOPPIXから起動し、内蔵HDDのフルセクタイメージを、Windows共有フォルダへ、進捗を確認しながら圧縮して分割しながら保存する方法を説明します。
◆ 目次 ◆
◆ 1. MacでKNOPPIXを起動 ◆
◆ 1-1. Macの準備 ◆
バックアップが出来るようMacの準備を行います。
- 以下の通りKNOPPIXのCDとMacを用意します。
- MacBookの場合は、バックアップ中に電源が切れないよう、ACアダプタを接続します。
- Windows共有フォルダにバックアップしますので、LANケーブルも接続します。
- KNOPPIXのCDをDVD/CDドライブに挿入してください。
◆ 1-2. KNOPPIXを起動 ◆
MacからKNOPPIXを起動します。
- MacのCD/DVDドライブに、KNOPPIXのCDが入った状態で、以下の通りキーボードのCを押しながら
Macの電源を入れます。
- 以下の通りKNOPPIXの起動画面が、Macの画面に表示されますので、キーボードのCから手を離してください。
- KNOPPIXの起動画面の「boot:」の横に、ccccが入力されていましたら、「delete」キーで、以下の通り「boot:」だけにしてください。
- KNOPPIXの起動画面で「ENTER」キーを入力しますと、MacからKNOPPIXが起動し始めます。
- 以下の通りデスクトップ画面が表示されましたら、MacでKNOPPIXの起動は完了です。
◆ 2. Windows共有への接続 ◆
◆ 2-1. MacにIPアドレスを設定 ◆
Macから起動したKNOPPIXに、IPアドレス等のネットワーク情報を設定します。
- まず、KNOPPIXのデスクトップの下のバーから、以下のターミナルエミュレータをクリックします。
以下の通りターミナルが起動します。
- ネットワークデバイスを以下のコマンドで、確認します。
knoppix@Microknoppix:~$ ifconfig eth0[ENTER]
eth0 Link encap:イーサネット ハードウェアアドレス XX:XX:XX:XX:XX:XX
UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 メトリック:1
RXパケット:563 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
TXパケット:86 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000
RXバイト:56641 (55.3 KiB) TXバイト:12716 (12.4 KiB)
割り込み:19 ベースアドレス:0x2000
|
ここで、以下の通り既にIPアドレスが設定されている場合は、ネットワーク上にあるDHCPサーバから、割り与えられたかと思いますので、以降のIPアドレス等の情報設定は不要です。
knoppix@Microknoppix:~$ ifconfig eth0[ENTER]
eth0 Link encap:イーサネット ハードウェアアドレス XX:XX:XX:XX:XX:XX
inetアドレス:192.168.1.100 ブロードキャスト:192.168.1.255 マスク
:255.255.255.0 ^^^^^^^^^^^^
inet6アドレス: fe80::20c:29ff:fe91:63d4/64 範囲:リンク
UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 メトリック:1
RXパケット:563 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
TXパケット:86 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000
RXバイト:56641 (55.3 KiB) TXバイト:12716 (12.4 KiB)
割り込み:19 ベースアドレス:0x2000
|
- まず、IPアドレス・サブネットマスクを設定します。
このレシピでは、バックアップ対象になるMacは、以下のIPアドレスを設定する形で説明します。各環境にあわせ読み替えてください。
■バックアップ対象のMacに設定するネットワーク情報
192.168.1.100 | |
255.255.255.0 | |
192.168.1.1 | |
- 上記設定を行うには、まず、以下のコマンドでコンソールをrootユーザに変更します。
knoppix@Microknoppix:~$ su -
|
すると、カーソルが以下の通り変化します。
次にIPアドレスとサブネットマスクを、以下の通り入力します。
root@Microknoppix:~# ifconfig eth0 192.168.1.100 netmask 255.255.255.0 up
[ENTER] ^^^^^^^^^^^^^ ^^^^^^^^^^^^^
IPアドレス ネットマスク
|
- 再度コマンドを入力し、ネットワークデバイスに、IPアドレスとサブネットマスクが設定されていることを確認します。
root@Microknoppix:~# ifconfig eth0[ENTER]
eth0 Link encap:イーサネット ハードウェアアドレス XX:XX:XX:XX:XX:XX
inetアドレス:192.168.1.100 ブロードキャスト:192.168.1.255 マスク
:255.255.255.0
UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 メトリック:1
RXパケット:563 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
TXパケット:86 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000
RXバイト:56641 (55.3 KiB) TXバイト:12716 (12.4 KiB)
割り込み:19 ベースアドレス:0x2000
|
- 通常はここまでですが、もしMacがWindows共有フォルダの接続されているIPセグメントと別のネットワークに接続されている場合は、以下の通りネットワーク上のルータのIPアドレスを、デフォルトゲートウェイ(デフォルトルータ)として、設定します。
root@Microknoppix:~# route add default gw 192.168.1.1[ENTER]
^^^^^^^^^^^
|
デフォルトゲートウェイの設定情報は、以下のコマンドで確認できます。
root@Microknoppix:~# netstat -rn[ENTER]
カーネルIP経路テーブル
受信先サイト ゲートウェイ ネットマスク フラグ MSS Window irtt インタフェ
ース
0.0.0.0 192.168.1.1 0.0.0.0 UG 0 0 0 eth0
192.168.1.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U 0 0 0 eth0
|
以上でネットワーク情報の設定は完了です。
◆ 2-2. Windows共有への接続 ◆
バックアップを保存するWindows共有フォルダに、KNOPPIXで起動したバックアップ対象のMacを接続します。
- まずは、ネットワーク上のWindows共有フォルダの情報を確認しておきます。
このレシピでは、ネットワーク上に以下のWindows共有フォルダがある条件で記載しますので、各環境にあわせ、読み替えてください。
■このレシピで使用する、Windows共有フォルダの情報
192.168.1.11 | |
adnet | |
linux | |
memo | |
linux-memo | |
- IPアドレスを設定した際と同じように、コンソールを起動し、以下の通りroot権限に変更してください。
knoppix@Microknoppix:~$ su -
|
- マウントポイント(Windows共有フォルダを接続させるディレクトリ)を以下の通り作成します。
root@Microknoppix:~# mkdir /mnt/public
|
- Windows共有フォルダに接続します。
root@Microknoppix:~# mount -t cifs //192.168.1.11/linux-memo /mnt/public \
-o user=adnet/linux,iocharset=utf8
|
- 以下の通りパスワードが要求されますので、入力します。
- エラーなくカーソルが戻ってくれば、接続完了です。
接続できているか、以下のコマンドで確認してみましょう。
root@Microknoppix:~# df -k /mnt/public
ファイルシス 1K-ブロック 使用 使用可 使用% マウント位置
//192.168.1.11/linux-memo 1953514460 580224344 1373290116 30% /mnt/public
|
一方で、接続できていない場合は、以下のような表示になります。
root@Microknoppix:~# df -k /mnt/public
ファイルシス 1K-ブロック 使用 使用可 使用% マウント位置
rootfs 0 0 0 - /
|
- 無事接続できれば、今度は共有ディレクトリにイメージ保存用のサブディレクトリを作成します。
ディレクトリ名は任意に決めてください。 このレシピでは「backup」というサブディレクトリとして説明します。
以下のコマンドでサブディレクトリが作成できます。
root@Microknoppix:~# mkdir /mnt/public/backup[ENTER]
サブディレクトリ名^^^^^^^
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なお、エラーで作成が出来ない場合は、Windows共有ディレクトリのアクセス権が不足していないか、同じサブディレクトリが既に存在していないか確認してください。
◆ 3. バックアップ(保存) ◆
◆ 3-1. Macの内蔵HDDの確認 ◆
いよいよバックアップですが、まずはバックアップ対象となる、Macの内蔵HDDの確認を行います。
- IPアドレスを設定した際と同じように、コンソールを起動し、以下の通りroot権限に変更してください。
knoppix@Microknoppix:~$ su -
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- 以下のコマンドで、内蔵ハードディスクのデバイス名が確認できます。
root@Microknoppix:~# sfdisk -s[ENTER]
|
- 結果以下の通り表示されます。
赤文字部分が内蔵ハードディスクのデバイス名です。
WARNING: GPT (GUID Partition Table) detected on '/dev/sda'! The util sfdisk doesn't support GPT. Use GNU Parted.
/dev/sda: 244198584
total: 244198584 blocks
|
KNOPPIXでは、認識した順番で、HDDのデバイス名を/dev/sda,/dev/sdb,/dev/sdcといった順で割り当てます、内蔵HDDやRAIDドライブ、外付けのHDDもこのようにデバイス名が付けられますので、バックアップするHDDがどれなのかは、青文字のディスクサイズ(キロバイト表示)で判断してください。
このレシピでは、上の例の通り、内蔵HDDは/dev/sdaで認識されている前提で記載しますので、各Mac環境で読み替えてください。
◆ 3-2. MacのHDDイメージを保存 ◆
いよいよディスクイメージを、保存します。
- root権限に変更したコンソールで、以下のコマンドを実行することで、Macの内蔵HDDをWindows共有ディレクトリに、圧縮と分割を行いながら、フルセクタイメージで保管する処理が、開始されます。
root@Microknoppix:~# dd if=/dev/sda conv=sync,noerror ibs=512 obs=65536 \
| gzip -6 | split -a4 -b600m - /mnt/public/backup/sda.fdgz.[ENTER]
|
ポイントを色分けして説明します。
赤色の文字は、バックアップ対象となるMacのHDDデバイス名です。
水色の文字は、保存先のイメージファイルの分割サイズです。
root@Microknoppix:~# dd if=/dev/sda conv=sync,noerror ibs=512 obs=65536 \
| gzip -6 | split -a4 -b600m - /mnt/public/backup/sda.fdgz.
|
- バックアップは非常に時間がかかります。以下の通りコンソールが戻ってくればバックアップ完了です。
- バックアップが完了すれば、バックアップ先のWindows共有ディレクトリに、sda.fdgz.aaaa sda.fdgz.aaabといった600Mのファイルがたくさん出来上がります。
これらすべてがMacのフルセクタイメージのバックアップファイルになりますので、大切に保管してください。
◆ 3-3. 進捗情報の確認 ◆
上記のバックアップは非常に時間がかかり、いつ終わるか分かりません。
そこで、バックアップがどの程度進んでいるか、先ほどの画面に表示する方法があるので、紹介します。
- バックアップを実行しているコンソールとは、別のコンソールを用意します。
これまでと同じように、root権限に変更します。
knoppix@Microknoppix:~$ su -
|
- バックアップしているプログラム(ddコマンド)の、プロセスidを以下のコマンドで調べます。
root@Microknoppix:~# ps -e | grep " dd$"[ENTER]
|
結果は次のように表示されます。赤文字の値の部分が、実行中のddコマンドのプロセスidです。この例では「3701」となっています。
- 以下のコマンドで、調べたプロセスidを使って、現在の進捗情報を、バックアップコマンドを実行しているコンソールに、表示させます。
root@Microknoppix:~# kill -SIGUSR1 3701[ENTER]
プロセスid^^^^
|
- すると、バックアップコマンドを実行しているコンソールには、以下の通り進捗情報が追加表示されます。
もちろん、進捗が表示されるだけで、コンソールは戻りません。ひき続きバックアップは継続されています。
root@Microknoppix:~# dd if=/dev/sda conv=sync,noerror ibs=512 obs=65536 \
| gzip -6 split -a4 -b600m - /mnt/public/backup/sda.dgz.
48326400+0 レコード入力 <--進捗
377549+0 レコード出力 <--
24743051264 バイト (25 GB) コピーされました、 550.34 秒、 45.0 MB/秒<--
|
- 進捗の確認コマンドは、何度でも表示できます。
root@Microknoppix:~# kill -SIGUSR1 3701[ENTER]
|
root@Microknoppix:~# dd if=/dev/sda conv=sync,noerror ibs=512 obs=65536 \
| gzip -6 split -a4 -b600m - /mnt/public/backup/sda.dgz.
48326400+0 レコード入力
377549+0 レコード出力
24743051264 バイト (25 GB) コピーされました、 550.34 秒、 45.0 MB/秒
75073792+0 レコード入力 <--進捗
586513+0 レコード出力 <--
38437715968 バイト (38 GB) コピーされました、 1325.64 秒、 29.0 MB/秒<--
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確認コマンドが実行されると、バックアップコマンドを実行しているコンソールには、上記の通り最新の進捗情報が最終行に3行追加表示されます。
これで、バックアップが大体いつ頃終わるのか、判断することが出来ます。
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