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省電力WOLサービス

WOL(Wake On LAN)は、シャットダウンしたパソコンを、ネットワーク経由で起動する技術です。

パソコンの電源を切っておいて、使いたいときに電源を入れることができます。

近年リモートワークが盛んに行われており、社内にある実機のパソコンに家から遠隔で接続して作業をすることが多くなっているのではないでしょうか。


この技術と省電力で動くポケットコンピュータ「RaspberryPi」を組み合わせることで、夜仕事が終わればパソコンをシャットダウンし、朝仕事を始める前にパソコンを起動する運用が可能で、夜の電気代を節約することが可能になります。

目次

1. [使い方]
2. [パソコン側の設定]
※うまく電源が入らないときにパソコン側で確認するポイント 3. [RaspberryPiの準備]

1. [使い方]

RaspberryPiからマジックパケット(WakeOnLANを実現するためにネットワークに流す信号)を送信するには、以下の手順で実施します。

  1. RaspberryPi(OSはRaspbian日本語版で説明します)を起動し、以下のデスクトップ画面から、ターミナルを起動します。


  2. ターミナルから以下の通り、コマンド「wakeonlan」を入力し、パラメータにMACアドレスを指定します。
    pi@raspberrypi:~ $ wakeonlan 00:26:06:D7:XX:XX[ENTER]
    ※MACアドレスはコロン「:」で区切ってください。ハイフン「-」で区切るとうまくいきません。

    以上で指定したMACアドレスのパソコンが自動的に起動します。

    コマンドがない場合は
    [RaspberryPiの準備]でツールをインストールしてください。

    起動できない場合は、起動させたいパソコンのBIOSの設定などができていない可能性がありますので、[パソコン側の設定]で示すポイントを確認してください。
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2. [パソコン側の設定]

マジックパケットを受信してパソコンの電源を入れるには、パソコン側でも設定が必要ですので、いくつかポイントを説明します。

2-1. BIOSの設定

    BIOSでWakeOnLANが有効になっている必要があります。

  1. パソコンの電源を入れ[F2]または[DEL]などのキーを押しながら。BIOSを起動します。

    BIOSの起動は機種によっても違いますが、電源を入れた後に画面に一瞬表示されますので、そのキーを入力してください。

    [DEL]キーで起動できる機種の場合、以下の通り電源を入れると「Press DEL to enter SETUP」などと表現されます。


    [F2]キーで起動できる機種の場合は、以下のような感じで出てきます。


  2. BIOSが起動できると、以下のような画面が出てきます。機種によってBIOSのイメージは違いますので、いくつかイメージを示します。



  3. BIOSが起動できればWakeOnLANを有効にします。これも機種によって表現が違いますので、いくつかイメージを示します。


  4. また、機種によっては「APM (Advanced Power Management )」 や 「ACPI Configuration」 と表記されている項目を開き「 PME ( Power Management Event ) による電源 ON 」や「 PCIE Device Power ON 」など PCIeによる起動を「 有効 」もしくは「 Enabled 」にする必要があります。

  5. 以上でBIOSの設定は完了です。保存して再起動(SAVE & RESTART)してください。

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2-2. OSの設定(Windows10)

    WakeOnLANはBIOSだけでなくOSにも設定が必要です。
    ここでは、Windows10で説明します。

  1. まず、LANカードのドライバの設定で、WakeOnLANができるように設定します。

    Windows 10の場合は「 スタート 」のコンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「 デバイスマネージャー 」を選択します。


    デバイスマネージャからLANカードを選択して「右クリック-プロパティ」を選択するか、LANカードをダブルクリックして、以下の通りLANカードのプロパティ画面を表示します。


    「詳細設定」タブから「 Wake On 〜 」とか「 PME 」という項目を見つけて「 有効 ( Enable ) 」してください。


    LANカードの「 プロパティ 」に「 電源の管理 」タブがあれば、以下の通り「 このデバイスで、コンピューターのスタンバイを解除できるようにする 」と「 Magic Packet のみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする 」の両方にチェックを入れておきましょう。



    設定が終われば「OK」ボタンをクリックして、設定を完了してください。

  2. 次に、Windows10のハイブリッドシャットダウンの無効化を行います。

    Windows 10の場合は「 スタート 」のコンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「 電源オプション 」を選択します。


    ここで、以下の通り「 関連設定 」にある「 電源の追加設定 」をクリックします。


    以下の通り「 電源ボタンの動作を選択する 」をクリックします。


    「 現在利用可能ではない設定を変更します 」をクリック。


    「 高速スタートアップを有効にする 」のチェックを外します。


    以上でハイブリッドシャットダウンの無効化の設定が入力できましたので「変更の保存」ボタンを押して、設定を有効にしてください。

以上の2点がOS(Windows10)で設定が必要となります。

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2-3. 電源供給

    WakeOnLANを実現するには、ネットワークスイッチなどネットワーク装置への電源供給は、常に行われていなければなりません。

    特にオフィスでは、節電のため電源スイッチがある電源タップを利用し、業務後に電源スイッチを切って帰るルールになっているところがあるかもしれません。
    例えばそういった電源タップにネットワークスイッチが接続されていると、マジックパケットをパソコンに送ることができませんので、注意が必要です。

    また、これはパソコンも同じで、シャットダウンした後でも電流がLANカードに供給されるよう、常に電源に接続しておいてください。

    あと、特にノートパソコンもシャットダウン後はACアダプターで電源に接続しておいてください。電源に接続しておかないとWakeOnLANが実現出来ないことがあります。

    WakeOnLANを実現するには、パソコンはシャットダウンしていてもLANカードには電流が流れ、ネットワークスイッチとリンクアップしている状態であることが重要です。
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2-4. ネットワークスイッチのリンクランプ

    WakeOnLANで起動するよう、パソコン側の設定ができているか確認するポイントとして、パソコンをシャットダウンした後でも、そのパソコンが接続されているネットワークスイッチのリンクランプが消えていないか確認することがあります。

    WakeOnLANを実現するには、パソコンはシャットダウンしていてもLANカードには電流が流れ、ネットワークスイッチとリンクアップしている状態であることが重要です。
    そうなっていないと、WakeOnLANを実現するマジックパケットを受信して、パソコンの電源を入れることはできませんので、意外とこのポイントは重要です。

    特に注意することとして、パソコンをシャットダウンした後、一瞬リンクランプは消えるのですが、しばらく(2-3秒)するとリンクランプが点灯する動作が多くみられますので、シャットダウンした後数秒はネットワークスイッチのリンクランプを観察するようにしましょう。

リンクランプが消えてしまう場合は、「BIOSの設定」または「 OSの設定(Windows10)」がうまくできていない可能性がありますので、もう一度見直してください。
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2-5. MACアドレスの確認

    WakeOnLANで起動するパソコンのMACアドレスは、Windows10では以下のように確認を行います。

  1. [window]キー+[R]キーを同時に押します。
  2. 実行ウィンドウが表示されるので、名前に「CMD」を入力しOKを選択します。
  3. コマンドプロンプト画面に「ipconfig /all」を入力します。
  4. 以下の画面が表示されますので「物理アドレス」で表示された部分がMACアドレスですので、こちらを控えておきます。
    C:\Users\PC>ipconfig /all
    
    Windows IP 構成
    
       ホスト名. . . . . . . . . . . . . . .: PC
       プライマリ DNS サフィックス . . . . .:
       ノード タイプ . . . . . . . . . . . .: ハイブリッド
       IP ルーティング有効 . . . . . . . . .: いいえ
       WINS プロキシ有効 . . . . . . . . . .: いいえ
       DNS サフィックス検索一覧. . . . . . .: localdomain
    
    イーサネット アダプター ローカル エリア接続:
    
       接続固有の DNS サフィックス . . . . .: localdomain
       説明. . . . . . . . . . . . . . . . .: Broadcom NetXtreme 57xx Gigabit
       物理アドレス. . . . . . . . . . . . .: 00-1E-C9-3C-XX-XX <--ここ
       DHCP 有効 . . . . . . . . . . . . . .: はい
       自動構成有効. . . . . . . . . . . . .: はい
       IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.10(優先)
       サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
       リース取得. . . . . . . . . . . . . .: 2020年4月17日 6:45:19
       リースの有効期限. . . . . . . . . . .: 2020年5月5日 8:16:46
       デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
       DHCP サーバー . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.1
       DNS サーバー. . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.1
       NetBIOS over TCP/IP . . . . . . . . .: 有効
    
    ※WinsowsではMACアドレスはハイフン「-」で区切られて表現されていますが、RaspberryPiからMACアドレスを指定する場合は、コロン「:」で区切ってください。ハイフン「-」で区切るとうまくいきませんので注意してください。



このMACアドレスをRaspberryPiから指定し、起動します。
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3. [RaspberryPiの準備]

RaspberryPiからマジックパケット(WakeOnLANを実現するためにネットワークに流す信号)を送信するには、以下の手順であらかじめRaspberryPiにツールのインストールが必要です。

  1. RaspberryPi(OSはRaspbian日本語版で説明します)を起動し、以下のデスクトップ画面から、ターミナルを起動します。


  2. ターミナルから以下の通り、コマンド「apt-get update」を入力し、パッケージリストの更新を行います。
    pi@raspberrypi:~ $ sudo apt-get update[ENTER]


  3. コマンド「sudo apt-get install wakeonlan」を入力し、WakeOnLANに使用するツール「wakeonlan」のインストールを行います。
    pi@raspberrypi:~ $ sudo apt-get install wakeonlan[ENTER]


以上でRaspberryPiへのWakeOnLANに必要なマジックパケットを送るためのツールのインストールは完了です。
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